スマホを買い替えたり売却したりするとき、最初につまずきやすいのがバックアップです。写真や連絡先はもちろん、アプリのログイン情報や決済サービスの残高まで、今のスマホには生活に直結するデータが詰まっています。「なんとなく怖くて手が止まっている」という声は、編集部にもよく届きます。
バックアップの手順そのものは、iPhoneもAndroidも一度覚えてしまえば難しくありません。つまずくポイントはむしろ、標準のバックアップでは引き継がれないデータがあることを知らずに初期化してしまうケースです。復元できないと気づいたときには、元のスマホはすでに手元にない、ということも起こり得ます。
この記事では、iPhoneとAndroidそれぞれのバックアップ方法を並べて整理したうえで、移行漏れが起きやすいデータと、その対処法をまとめます。買取に出す前の作業手順として、上から順に進められる形で解説します。
売る前のバックアップが重要な理由
買取に出すスマホは、申し込み前に初期化(工場出荷状態へのリセット)を求められるのが一般的です。初期化すると本体内のデータはすべて消えます。つまりバックアップを取らないまま初期化した時点で、そのデータは戻せなくなります。
もうひとつの理由は安全面です。データを残したまま手放すことは、個人情報を第三者に渡すことと同じ意味を持ちます。バックアップを取ったうえで確実に初期化しておけば、後から不安になることもありません。データの取り扱いについてはスマホ買取のデータは安全かでも整理しています。
作業の順番としては、バックアップを取る、復元できたかを新しい端末で確認する、各種サービスからサインアウトする、最後に初期化する、という流れが安全です。復元の確認を飛ばして初期化すると、取り返しがつかなくなります。
iPhoneのバックアップ方法
iPhoneには大きく分けて三つの方法があります。手軽さで選ぶならiCloud、容量やスピードを重視するならパソコン、新しいiPhoneがすでに手元にあるならクイックスタートが便利です。
iCloudバックアップ
設定アプリを開き、一番上のユーザー名をタップし、iCloud、iCloudバックアップと進みます。「このiPhoneをバックアップ」をオンにしたうえで、「今すぐバックアップを作成」をタップすれば手動でも実行できます。Wi-Fiに接続し、電源につないだ状態で行うと途中で止まりにくくなります。
注意したいのは無料で使えるiCloudの容量です。標準の無料枠は5GBのため、写真が多い端末では容量不足でバックアップが完了しないことがあります。その場合は不要なデータを整理するか、有料プランへ一時的に変更するか、後述するパソコンでのバックアップに切り替えます。
パソコン(FinderまたはiTunes)でのバックアップ
macOS Catalina以降のMacではFinder、WindowsパソコンではiTunes(またはApple Devicesアプリ)を使います。ケーブルでiPhoneを接続し、表示された端末を選び、「iPhone内のすべてのデータをこのMacにバックアップ」などの項目を選んで実行します。
このとき「ローカルバックアップを暗号化」にチェックを入れておくのがポイントです。暗号化しておくと、保存されたパスワードやヘルスケアのデータも一緒にバックアップされます。設定したパスワードを忘れると復元できなくなるため、必ず控えておいてください。
クイックスタートで直接移行する
新しいiPhoneを初期設定する際、古いiPhoneを近くに置いておくとクイックスタートの案内が表示されます。画面の指示に従うと、Wi-Fiまたはケーブル経由でデータを直接転送できます。iCloudの容量を気にせず移行できるのが利点で、買い替えと同時に売却する場合に向いています。
ただし転送中は両方の端末を近くに置いたまま操作できない時間が続きます。時間に余裕のあるときに行い、転送後は新しい端末で写真やアプリが揃っているかを確認してから、古い端末の初期化に進みます。初期化の手順はiPhoneの初期化手順で詳しく解説しています。
バックアップが終わったら、売り先の比較もあわせて
買取サービスは、査定の方法も申し込みの流れも一社ごとに違います。比較ページでは宅配と店頭の違いや、申し込み前に確認したい条件を整理しています。
Androidのバックアップ方法
Androidはメーカーによって画面の名称が少しずつ異なりますが、基本となる仕組みは共通です。Googleアカウントを軸にした自動バックアップを土台にして、写真とメーカー独自のデータを補う形で考えると整理しやすくなります。
Googleアカウントの自動バックアップ
設定アプリからGoogle、バックアップ(機種によってはシステム、バックアップ)と進み、機能がオンになっているかを確認します。「今すぐバックアップ」を実行すると、連絡先やカレンダー、Wi-Fiのパスワード、アプリの一覧、通話履歴、SMSなどがGoogleドライブに保存されます。
ここで保存されるのはあくまで対応している項目のみです。アプリ内部のデータは、そのアプリがバックアップに対応しているかどうかで結果が変わります。ゲームのセーブデータなどは、アプリ側の引き継ぎ機能を別途使うのが確実です。
Googleフォトで写真と動画を残す
写真と動画はGoogleフォトのバックアップ機能を使うのが手軽です。アプリを開いてプロフィールアイコンをタップし、バックアップがオンになっていること、そして「バックアップが完了しました」と表示されることを確認します。未同期の項目が残ったまま初期化しないよう、完了表示を必ず待ってください。
Googleアカウントの保存容量は無料枠が限られています。容量が上限に達していると同期が止まるため、残量の確認もあわせて行っておくと安心です。
メーカー独自ツールとパソコンへのコピー
各メーカーは自社端末どうしの移行を想定したツールを用意しています。同じメーカーの新機種へ買い替えるなら、こうしたツールを使うと設定やホーム画面の配置まで引き継げることがあります。まずは端末の設定内やメーカーのサポート案内で、対応するツールを確認してみてください。
クラウドを使わない方法としては、パソコンとケーブルで接続してファイルを直接コピーするやり方もあります。接続後に端末側の通知から「ファイル転送」を選ぶと、内部ストレージのフォルダが見える状態になります。写真はDCIM、ダウンロードしたファイルはDownloadといったフォルダにまとまっているため、必要なものをパソコンへ移します。SDカードを使っている場合は、カードを抜いて手元に残すことも忘れないようにします。初期化の流れはAndroidの初期化手順にまとめています。
標準のバックアップでは引き継げないもの
ここが最も注意したい部分です。iCloudやGoogleのバックアップを取っただけでは移行できないデータがあり、初期化してからでは復旧できないものも含まれます。代表的なものを表にまとめます。
| データの種類 | 必要な作業 |
|---|---|
| LINEのトーク履歴 | LINEアプリ内のトークのバックアップ機能を使う。あわせてアカウント引き継ぎの設定と、メールアドレスやパスワードの確認をしておく |
| 二段階認証アプリ | 新端末への移行機能があるか事前に確認し、無い場合は各サービス側で認証設定をやり直す。バックアップコードの控えも用意する |
| おサイフケータイや電子マネーの残高 | サービスごとの機種変更手続き(預け入れや残高移行)を旧端末で先に行う |
| 写真や動画の原本 | クラウドの同期完了を確認するか、パソコンへコピーして原本を手元に残す |
| ゲームやアプリのアカウント | アプリごとの引き継ぎコード発行、またはアカウント連携を旧端末で済ませる |
特に注意が必要なのが、おサイフケータイや電子マネーの残高です。旧端末で手続きをしないまま初期化すると、残高がそのまま失われてしまう場合があります。二段階認証アプリも同様で、認証コードが出せなくなると、ネットバンキングや各種サービスへログインできなくなることがあります。
写真については、クラウドに「アップロード中」の項目が残っていないかを必ず確認してください。枚数が多いと同期に時間がかかるため、初期化の直前ではなく数日前から準備を始めておくと余裕を持って進められます。
バックアップから買取申し込みまでの進め方
実際の作業は、次の順番で進めるとやり直しが起きにくくなります。
- 写真や動画をクラウドまたはパソコンへ退避し、完了表示を確認する
- 端末全体のバックアップ(iCloudやパソコン、Googleアカウント)を実行する
- LINE、二段階認証、電子マネーなど個別の引き継ぎ手続きを済ませる
- 新しい端末で復元し、必要なデータが揃っているかを実際に開いて確認する
- 旧端末で各サービスからサインアウトし、SIMカードやSDカードを取り出す
- 旧端末を初期化し、査定の申し込みへ進む
買取に出す準備全体の流れはスマホを売る前の準備でまとめています。付属品の用意や本人確認書類の準備も同時に進めておくと、申し込みがスムーズです。
なお、下取りや買取の申し込みには期限が設けられていることがあります。バックアップに手間取って期限を過ぎると、条件が変わってしまう可能性もあるため、日程には余裕を見ておくことをおすすめします。
まとめ
- iPhoneはiCloud、パソコン(FinderやiTunes)、クイックスタートの三つから、容量や状況に合った方法を選ぶ
- AndroidはGoogleアカウントの自動バックアップを土台に、Googleフォトやメーカー独自ツール、パソコンへのコピーで補う
- LINEのトーク履歴、二段階認証アプリ、電子マネー残高、写真の原本は標準バックアップだけでは引き継げないことがある
- 新しい端末で復元できたことを確認してから初期化し、その後に買取を申し込む順番が安全
バックアップは面倒に感じられますが、順番さえ決めてしまえば一つずつ片付けられる作業です。データを守ったうえで、納得できる形でスマホを手放してください。
